#book #r2024

# なぜこの本を読んだか
原著が 2010年 だったので日本語訳はされないんだろうと思って積んでたが、ついに 2024年に日本語訳されてしまったので優先度をあげて読むことにした。
# 何が書かれている本か
[[SCRUM MASTER THE BOOK]] とかにも通じるところがある本だった (どちらかといえばこちらの本の方が古いわけだけど)
この時代に「コーチング」ということにちゃんと向き合ってる本は珍しい気がするので純粋にすごいなと感じた。
[[Resilient Management]] とも似たことを言っている感じがする。
# メモ
### アジャイルチームのステージ
ここでも「守破離」が紹介されていた
守 : 「アレンジせず、背後にある根拠を理解しようともせずに教わった通りに」真似をします
破 : ここでは基本を習得できていますので、今度は「あらゆることの真実を熟考する」ために時間を費やします
離 : 従来のルールを壊しては更新することを繰り返しながらも根底にある原則に従っている。ここに至ると、師弟は同等であり、場合によっては師匠を超えた熟練者となります。
> 守破離を経ると、最終的に知識と技術において弟子は師匠を超えていきます。守破離はどのような技術においても上達の基本です。いつまでも弟子が師匠を超えられない技術など、まず廃れるでしょう。弟子が師匠の力に決して到達できなければ、廃れていく一方なのです。一方で、師匠が伝承してくれることをすべて吸収し、さらなる高みへと進化させることができれば、その技術は磨かれ繁栄していきます。
### アジャイルコーチの失敗モード
- スパイは、チームを観察し、次のふりかえりのためのトピックを拾い上げるためだけに時間を費やし、夜の闇に溶けていく。
- シーガル、デイリースタンドアップの場に飛び込んできて、善意の観察やアドバイスの形でチーム中にプリッと落とし物をして、また飛び去ってしまう。
- オピニオネーターは、頻繁に自分の意見を述べ、それに執着し、本来ならチームの中でディスカッションするようになるコーチングが必要なのに客観性を失わせてしまう。
- アドミンは、会議の運営、アクセス権の要求、その他の管理上の些細なことにおける不必要な仲介者となることで、チームのオーナーシップを損なう。
- ハブは、チームメンバー間のコミュニケーションやタスクレベルの調整において「宇宙の中心」的存在として振る舞う。
- 宇宙の中心 -> 単一障害点という意味
- バタフライは、チームからチームへと飛び回り、ご大層な知恵を授け、交渉な問いかけをしては去っていく。
- エキスパートは、チームの仕事の細部に立ち入ってしまい、木を見て森を見ずになる。
- ナグは、デイリースタンドアップの開始、ストーリーボードの更新、コミットしたタスクの完了など、チームの「リマインダー」として役立つ。
### アジャイルコーチのスキル
- アジャイルプラクティスを定着させる
- 複数のアジャイルチームを立ち上げる
- チームメンバーの1対1のコーチングをする
- チーム全体をコーチングする
- プロダクトオーナーをコーチングする
- チーム外の人々をコーチングする
- 変化するチームに対応したコーチングをする
- 高いパフォーマンスへの道を切り開く
- 他の人の考えを優先する
- 自分自身を究める
- アジャイルの価値と原則を体現する
- コンフリクトをナビゲートする
- 学びと成長の道を歩む
- 還元し始める
## 余談
重力というメタファーが出ていて、それがよかった
> 一般的に、計画に基づいた管理の根底にある信仰は「重力が働く」という単純な事実に置き換えられます。
> ロッククライマーは重力が働くことを知ってます。それを理解し、受け入れたうえで、計画を立てます。あるときハイキングの最中に、すべての装備を広げ、ロープを垂らし、私のはるか頭上の垂直は岩壁にしがみついているロッククライマーたちの前を通ったとき、「重力は働いている」と書かれたバンパーステッカーが目に入りました。まったくその通りです。ロッククライマーはこのことを知った上で計画を立てているのです。アジャイルコーチも同じです。
> 地球上の物理的な環境では、変わらないもの、常に存在しているもの、否定できないもの、といったものが単に当たり前として受け止められていることを、このメタファーを使って示します。仕事環境にも同じようなことがありますよね。
>
> 顧客のニーズは変化するものです。重力と同じです。
>
> チームができることは、チームにしかわからないし、時間の経過とともに変化するものです。重力と同じです。
>
> 世界は信じられないスピードで動き、誰も予測できなかったような状況を生み出すものです。重力と同じです。
>
> 誰かの代わりに何かを確約することも、相手が確約するのを期待することもできないものです。重力と同じです。
>
> アジャイルは重力を受け入れ、まさにその実践と原則の中で重力を引き受けるのです。重力に対処することは、織り込み済みです。
> 計画駆動の戦術で進めるプロジェクトマネージャーは、重力に逆らおうとしがちです。だからこそ、プロジェクトマネージャーからアジャイルコーチになる道のりでは、「重力が働く」という考え方と格闘しながらも、受け入れなければならないのです。
自分はこういう力を組織に働く「力学」という風に表現することが近い気がする
# 感想
- 良い本ではあるものの、具体性に欠ける部分もあったりしててかなりマインドセットに寄った本という印象がした。
- また冒頭でも述べた通り、マネジメントやコーチングなどの本でいえば、 [[Resilient Management]] だったりスクラムマスターの本としては、[[SCRUM MASTER THE BOOK]] があったりもするので (とはいえこれが 2010年 にあったと思うと驚きを隠せないのだけれど) この本が特別おすすめかというとマインドセットとしては、知っておいた方が良いものの [[血肉になっているおすすめの本]] のような本ではなかった感じがした
- 2010年にこの本があったと思うと驚きではあるんだが (大事なことなので)
- だってアジャイルマニフェスト 2001年 から10年経っていないのだから