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# なぜこの本を読んだか
[https://twitter.com/ryuzee/status/1591366115384774656](https://twitter.com/ryuzee/status/1591366115384774656) で
「アジャイルリーダーシップ: 変化に適応するアジャイルな組織をつくる」が発売されることを知り、そういえば同じく [Zuzi](https://twitter.com/zuzuzka) さんの本で積んでた [The Great Scrum Master](https://greatscrummaster.com/) があったのを思い出したので予習がてら読んでみることにした。
# 何が書かれている本か
「スクラムマスター」はサーバントリードであるだったり「スクラム」の成功に従事する人だったり割と世間でのスクラムマスターのスキルや職務やマインドセットが曖昧なことが多い。
この本ではそういう部分を丁寧に言語化しようとしている本である。
# メモ
### 自己組織化したチーム
全ての意思決定をスクラムチームがするべきという幻想を抱きがちだが愚直に「スプリントゴールとスプリントバックログを、完成の定義として合意された品質でデリバリーするために、チーム自身でどう進めるべきか?」に限定された上でこの範囲の中で全ての決定権を有しているというのがスクラムにおける自己組織化したチーム。
= 自己組織化したチームはいずれも、与えられた境界内でのみ自己組織化する
### スクラムマスターの目標
スクラムマスターは自己組織化したチームを構築し、企業のあらゆる階層で基本原則として自己組織化が行われるように努力します。自己組織化はパフォーマンスの高いチームを作る上でも鍵となる側面であり、長期的に重要となる。
そのためにスクラムマスターはリーダーシップを取る職務であり、成功するには創造性、ビジョン、直感が必要となる。
またスクラムマスターはチームの状態や、会社がどの程度アジャイルに適応しているかに合わせて、採用するアプローチを調整すべきです。採用するアプローチを決めるのに役立つモデルがあります。
以下が4つの核となるアプローチ
- ティーチングとメンタリング
- 障害物の除去
- ファシリテーション
- コーチング
### ScrumMasterWay
レベル1: スクラムマスターは開発チームにだけ責任を感じます
レベル2: 関係性に着目してプロダクトオーナーをチームに引き入れていく
レベル3: システム全体として、組織やその一部に注目します。この段階では、組織に持続可能な反映をもたらし、人々を刺激し、社会に価値をもたらすよう、仕事の世界を変革したいと考える
### スクラムマスターのコンピタンス
- アジャイルの達人である
- シンプルなスクラムの原則を一般化し、本来想定されていない環境にも適用する能力を持つことも含まれます
- 説明と経験の共有
- ファシリテーションとコーチング
- ファシリテーターとして、議論の中身ではなく枠組みづくりに責任を持ちます。ファシリテーションとはミーティングを確実に行うことだけではなく、いかに効果的で価値あるものにするかということです。適切に行えば、議論に明確な意味が生まれ、効率的な流れができるため、「スクラムは会議ばっかり」という不満の声は鳴りやみます
### タックマンの集団発達モデル
- フォーミング
- この段階では特にティーチング、説明すること、経験を共有すること、に関わる時間が大幅に長くなります
- ストーミング
- チームの話し合いをするように働きかけることと、お互いが一緒に働くことができそうなワーキングアグリーメントを作るよう勧めることです。ここで一番大事なスクラムマスターの真理状態モデルはファシリテーションです
- ノーミング
- この段階で一番重要な道具はコーチングです。コーチングなしでは、チームは永遠にこの段階にとどまってしまいがちです。この状態はそれほど悪くなく、もうかなり快適で生産的だからです。
- パフォーミング
- チームが前の段階に戻ってしまったり、物事が悪くなったりするのを防ぐために、観察を行い、いつでもコーチ、ファシリテーター、障害物を除去する人として参画できるように備え、経験の共有や新しいことを教える準備をしておく
- 変動
- この組織モデルが完遂する前になんらかの変動が起こるのが世の常です。たとえ小さな変動 (メンバーが1人抜ける/参加する、など) であっても、チームはバラバラになり、フォーミング段階に戻ってしまう可能性があります。あらゆる変動を観察し、早期に発見し、たとえ数日間であっても、実際にチームがいる段階に合わせて振る舞いを調整する。
### 部族としての組織
`トライブ - 人を動かす5つの原則` という本から来てるアイディア
全ての組織は部族 (Tribe) で構成されていて、部族はお互いを知っている人々のグループで約150人までの集団のことを指す。
部族は以下のステップを踏んで変化を起こしていきます
- ステージ1: 人生は最低だ
- ステージ2: 自分の人生は最低だ
- ステージ3: 自分はすばらしい (でもあなたは違う)
- ステージ4: 自分たちはすばらしい
- ステージ5: 人生はすばらしい
### 変化を求めて
働き方を変える前に、どうして変わりたいのか、明確にしておくと良いでしょう。「新しいからやるのだ」という理由では十分ではありません。現在のボトルネックはなにで、強みはなにで、期待しているものはなんでしょうか?期待がそれほど高くないなら、まだ変化する準備ができていない可能性があります。
以下が成功させるための8つのステップ
- 危機意識を持つ
- 変化を必然にしましょう。なぜなら、人は現在のプロセスに痛みを感じるまで、改善の必要性を見いだせないからです
- チームをガイドする
- 一般的には、3人いれば、他の人を巻き込み、雪だるま効果を生み出すことが可能です
- 変化のビジョン
- 人々が理解できるよう、その変化について明確かつシンプルに説明しなければなりません。変化を推進するチームのメンバー全員が5分以内に説明できるようにしましょう
- 理解と了承
- あなたのビジョンがどれほどすばらしく、あなたがどれだけ信じていようが、他の誰かに売りこんでいかなければなりません
- たとえ小さな変化に関する情報でも、納得するには時間がかかります
- 人々の行動を促す
- 短期の成功
- 気をゆるめない
- まだ人々が望ましい状態に到達していないのに、あまりに早く「完了した」と認識してしまったために、変化が失敗に終わることがある。
- そしてまだ新しい状態が定着していないので、お底あれ早かれ以前の習慣に戻ってしまいます
- 新しい文化を創る
- 新しい働き方を組織の文化にとって不可欠なものにします
### 守破離
ざっくりは以下のような分類が書かれていた

### パワフルクエスチョン
- なにを達成し、変え、獲得したいですか
- いま、あなたにとって何が重要ですか?
- 完璧なスタンドアップミーティングはどのようなものですか?
- なにがうまくいっていますか?
- これまでにどのような進展がありましたか?
- 目標を達成するためになにを変える必要がありますか?
- それについて何ができますか?
- 違うやり方でなにができますか?
- やめるためには何をする必要がありますか?
- 他に何がありますか?
- 次はなんですか?
# 感想
- スクラムマスターが何をすべきかというのを丁寧に言語化している印象が強い
- 特にチームを動かすためのメンタルモデルについて詳細に書かれていて非常によかった
- コーチングなどの話は [[Resilient Management]] で学んだこと、ファシリテーションについては [[会議の進め方]] とかと同じだなあなんて思いながら読んでいた